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北京+10報告

3月11日 会議の終わり、しごとの再スタート(最終回)

 なぜか最後になってネットがつながらず、最終日の報告が遅くなってしまいました。もう報道されているかもしれないが、結果的に10本の決議案はすべて合意により採択となった。いろんな理由から内容に不満を持つ人はいるだろうが、アメリカが提出していた2本も、各国の介入によって原案よりもだいぶ視野は広くなったし(「経済」の決議は最終的に「起業」がタイトルからはずれた。よかった!)、まあそれほどよくも悪くもないところで落ち着いたといえるのではないだろうか。

 とはいっても、実は私は、最終日の議論の流れはほとんどフォローしていない。この時点では政府間交渉も最終段階で、NGOにできることは――とくに日本のNGOには――ほとんどない。それに、よっぽど悪い決議文にならない限り、あまりこれにエネルギーをそそぐ意味もないのではと思うと、昨日あたりから気持ちは会議場から遠のいてしまった。

 そういうわけで、この日は朝からいくつかのNGOとミーティングやインタビューの予定を入れていた。久しぶりに会った人と話し込んだり、壊れてしまった靴を修理にいったりと、なんとなくのんびりして4時頃に開場に戻ると、昨日までメインの会議場だった部屋はがらがら、NGOの姿も見えない。最終議事を総会議場に移して行っているらしいが、もう傍聴席は満杯で入れないといわれたので、報告をのんびりと待つことにしよう。

 思いがけずにぽかんと空いた時間で、NGOの使っている小部屋に集まってきた、タジキスタン、ソマリア、アメリカなどからの参加者と話す。みんな、厳しい、暴力的な状況の中で闘っている。だからここにきたのだ。国連が、行動綱領の文言が、女性たちの現実とかけ離れているように見えるとしても、そうさせないように政府や国連機関に責任を要求するのが、国に帰ってからの私たちNGOのしごとだ。

 いつものリンケージコーカスの時間になっても、いくつかの決議の採択が終わらず、集まった人数はいつもより少ない。シャーロット・バンチの司会でNGO声明の文言の最終確認。全体的な評価としては、世界女性会議ではなく通常のCSWで行われたこと、情報へのアクセスが制限され、官僚的な場に対する失望、いらだちも強い一方で、行動綱領をゆがめ弱めようとするアメリカの単独行動主義がどこからも支持を得ずにブロックされた成果を確認し、MDG会議などで国連にアカウンタビリティーを要求するとともに、より独立した女性たちのフォーラムをつくっていこうと話された。

 6時半過ぎ、日本政府代表部のブリーフィングに遅れて参加。代表団の目黒依子さんは、今回、北京や北京+5のときのような対立構図が見られず、イスラム諸国がアメリカとともに行動綱領に対する攻撃に加わらなかったことを指摘。ジェンダー平等が開発の不可欠な一部であるという認識が、途上国の間に定着していることを肌で感じたといわれる。また日本政府とNGOとの情報交流が不足していることへの不満に対しては、政府だけを責めることはできない、2000年のときに比べてNGO側の準備も不足していた、日頃からの政府との交流が必要だと、率直に述べられた。

 期間中、他の国のNGOと政府をみていると、日本が一周遅れのランナーであることを何度も痛感させられた。山谷えり子議員の質問は、あきらかに行動綱領の正当性を否定することを狙ったものだったが、それでも公式の立場としては、日本政府は不平等なジェンダー役割、女性の性と生殖の権利も含めて、行動綱領を再確認し実行することを約束したわけだ。次は運動の側で、バックラッシュをはねかえし、政府にアカウンタビリティを求め、NGOを強めるための戦略をつくらなければ。帰ってからがほんとうのしごとの再スタートだ。
 
 直前まで来るかどうか迷い、来てみてからも準備や知識の不足を悔やむことの多い会議だったけど、結果的に、来てよかったと思っている。古い友人と会い、新しい仲間と出会って、たくさんの刺激とアイデアをもらった。いまはひどい時代だけど、やっぱり前向きな変化を見たい。22日の報告会が、これからに向けた戦略づくりのスタートになりますように。ものすごく偏ったレポートでしたが、おつきあいくださってありがとうございました。

本山央子
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北京+10報告

3月10日新決議案で流れはどうなる?/NGOの目はこの先へ

 朝国連ビルに入ると、アメリカが昨晩出したというあたらしい人
身売買と経済の決議案の話でもちきりになっている。これまでの各
国の提案やNGOからの要請をまったく無視する内容らしく、またも
やの一国主義に、多くの国が頭にきているとか。共同スポンサーが
みつからない場合、今回の会議での採択は見送られる可能性も出て
きたという。問題は、誰もその最新案を実際に見ていないというこ
とだ。

 アフリカのNGOチームが作成し、毎日無料で配られている新聞、
GEM Newsによれば、あたらしい決議のタイトルは「人身売買の需要
の削減」から「需要の廃絶」とすることで合意されたようだ。「需
要を廃絶すること、とりわけ商業的性搾取への需要を廃絶すること
は女性や少女の人身売買を根絶するうえでの鍵である」としてお
り、「搾取者」は人身売買の原因と結果について知らされるべきだ
という提案も入っていると書かれているが、どういうことか私には
よくわからない。アメリカの意図は売春の合法化に反対することに
あるとGEM Newsは見ており、中絶と同様、アメリカはこの政策を対
外援助に反映させようとしているという。

 カフェで記事を読んでいたら、APコーカスのラティが、ほらね、
これがアメリカのやりかたよ、とすごい勢いで怒りながらやってき
た。隣りの席に座っていたアフリカの女性が口をはさんできて、女
性が国境を自由に移動できないからブローカーに利用される、働き
たい女性の自由な移動が保障されればいいのだ、という。おどろい
て、でも人身売買は国境を越えてだけ起こっているわけではないで
しょう、国内の人身売買はどうなるの、と聞くと、問題は貧困だ、
貧困と移動の保障を、とあっさり答える。どこまで本気なのか、こ
れがアフリカでの中心的考え方なのか、困惑したが、それ以上議論
する気にならなかった。

 9時からのNGOブリーフィングと11時からのアジア太平洋コー
カスでもうすこしくわしい情報がはいってくる。経済については、
もともと「女性の経済的エンパワメント」というタイトルで提示さ
れた案が、あたらしい案では「女性の自主事業entrepreneurshipと
経済的エンパワメント」というタイトルで合意されたという。ほん
とうなら、とんでもない後退だ。せっかく各国やNGOの介入によっ
て「経済的エンパワメント」の意味を、女性の市場参加から市場の
枠組みを見直すことにまで広げようとしていたのに、起業だけに過
剰に焦点があてられたりしたら、視野が狭いどころの話じゃない。
最悪だ。

 津波の決議には「人権」という言葉が入ったのでよかったが、逆
にジェンダー主流化の決議からは「人権」が削られてしまった、と
いう。人身売買についてはあいかわらずよくわからない。昨日、人
身売買コーカスに冷たくあしらわれて以来、ヨーロッパのコーカス
のメンバーを探そうとしているが、彼らにもなかなか会えないまま
だ。会議の流れは気になるが、いずれにしてもできることがほとん
どないということもわかっている。

 それに今日は憲法24条キャンペーンの関連で、「家族の価値」
のおしつけに対してフェミニストの視点から活動している人々と連
絡をとらなくてはいけない。12時前に国連ビルを抜け出して、フ
ェミニスト・ラジオプログラムを主催しているFIREのマリア・スア
レスに日本の憲法24条キャンペーンの話をしにいく。FIREは女性
国際戦犯法廷のときにラジオインターネット中継をしたグループだ
が、つねにクリエイティブな活動をしていて注目していた。マリア
も、話し出すと人をひきつけてやまない魅力にあふれた人だ。今日
はあまり話をする時間はなかったが、メールで議論を続けようとい
うことに。

 続けて、いまサンフランシスコにいる著名なフェミニスト法学者
マーサ・ファインマンに電話で連絡をとり、同じような相談をす
る。ここから地下鉄に乗り、マーサと同じく、ブッシュ政権の婚姻
促進政策に反対して活発な活動をしているLegal Momentumのオフィ
スを訪問する。ここでは2時間にわたってゆっくりとお互いの情報
交換をすることができた。日本とアメリカの間のたくさんの違いに
もかかわらず、なんと多くの共通点があることか、おたがいにびっ
くりする。右派はまちがいなく国境を越えてやりかたをまねてい
る。こちらも国際ネットワークを作っていく必要で合意する。

 国連ビルにとって返すと、ちょうどチャーチセンターで大きな集
会が終わったばかりらしく、人々がたむろして話している。私がす
ごく行きたかったEUの女性たちによる人身売買集会にちがいない。
ひとりをつかまえると、今度こそヨーロッパ女性ロビーだった。EU
はひとつの声で話そうとしているけど、中絶を完全に合法化してい
るオランダのような国とスウェーデンとの間のへだたりは大きく、
被害者の保護を主張してはいるが、細かい点になるとなかなか難し
いのだという話。NGOもたしかにひとつの声で話してはいない。

 会議も終わりに近づき、NGOは今回の会議の評価をもとに、すで
に次にむけた議論を始めている。アメリカに振り回され、代表や情
報へのアクセスが著しく制限された今回の会議の反省をもとに、ア
ジア太平洋コーカスでは、今回は見送られた第5回世界女性会議を
NGOのフォーラムとして開催すべきではないかという提案も出た。
これに対しては既存の制度を動かしていくためにはECOSOCの枠組み
を維持するべきではないかという反論もたくさん出た。とにかく9
月に予定されているMDGに向けて、今回の北京+10の結果だけで
なく、CEDAW、ICPD、WCARなどこれまでの重要な国際会議・機構の
成果をもちこみ、女性の権利が開発枠組みや国連改革のプロセスと
別々のものではないことを確認させていこうという議論をする。こ
のためにAPコーカスの強化も課題となるだろう。

 これはむろんアジア太平洋だけの関心ではなく、リンケージコー
カスでも同じ方針が議論された。具体的な目標のひとつは、国連の
中にある女性の地位向上のための機構強化だ。UNIFEM代表ノーリー
ン・ヘイゼルとジェンダーに関する国連事務総長特別アドバイザー
のレイチェル〔ファミリーネーム忘れた〕も顔を見せ、これらの機
構が過去数年で拡大した仕事に対応するだけの資源を与えられてい
ない現状を報告、NGOと協力して国連改革のプロセスに女性たちの
関心を反映させる必要を議論した。リンケージコーカスは明日最終
日に国連及び各国代表にこの問題に関するレターを提出する。時間
をみつけて翻訳します。さてこれから最終セッション。

本山央子

北京+10報告

3月9日フラストレーション、どたばた、失望

 昨日は帰ってきて椅子にすわったとたんに睡魔がおそってきて、パ
ソコンをたたきながら眠ってしまった。というわけで、一日遅れのレ
ポートになってしまったがお許しを。

 決議文の文言をめぐる政府間の交渉は、「インフォーマル・ミーテ
ィング」で――つまりNGOにはアクセスできない非公表会議で行われて
いる(実際には一部NGOが参加できるものもあるようだが)。どの政府
がこんな文言を提案している、あそこの地域グループはA国とB国の間
で対立している、あたらしい決議案が出た、いやそれはもう古い……
政府にはたらきかけをしようにも、政府代表や文書、情報、NGOコーカ
スのメンバーにすらアクセスできないフラストレーションを、私だけ
でなく多くの人が感じているようだ。とくに人身売買に関しては、い
まだにNGOコーカスがどこでミーティングをしているのかという情報す
ら手に入らない。

 11時、アジア太平洋コーカス。決議文に関しては、さまざまな政府
がいろいろといい修正案を出してきており、全体にいい方向に動いて
いるという報告が、それぞれの問題を近くでフォローしているメンバ
ーからなされる。NGOとしてどの国の修正案を支持するかということ
も、この時点ではかなり明確に伝えられた。問題のアメリカ提案2本に
ついても、各国の介入によって、当初よりもかなりいいものになる可
能性があり、むしろアメリカが提案を取り下げる心配もでてきてい
る。

 経済に関しては、アメリカの最初の案が基本的に女性の市場参加を
促進することしか述べていないのに対して、各国政府から、土地への
権利、社会保護、集団交渉、セクシャル/リプロダクティブ・ヘルス
など、いくつもの重要な要素を含めることが提案されており、NGOとし
てはこれらの言葉を入れることでアジェンダを広げるよう政府に働き
かけていく。

 人身売買の決議案のほうは、いっそう情報が錯綜している。ひとつ
には政府だけでなくNGOも売買春に関して立場が分かれているせいだろ
う。ここで最新の修正案のドラフトのコピーが到着、新しく挿入が提
案されている節が読み上げられたが、私たちにまでコピーはまわらな
い。これについて報告したパムは、人身売買の根本的な原因として、
売春への需要よりも貧困やジェンダー不平等が指摘されており、かな
りいいものになったと評価した。もうあまり心配することはないとい
うことか?人身売買決議をフォローしているラフィにアプローチし、
問題のドラフトのコピーをとらせてもらうことに。

 コピー機の故障のために建物内をうろうろし、ようやく座ってドラ
フトにゆっくり目を通しながら、突然はっとした。「被害者保護」と
いう言葉は入っているものの、しばしば「非合法な移民」として扱わ
れる人身売買被害者たちをNGOと協力しながら保護し、本人が望むなら
滞在権を保障し、精神的社会的経済的支援を提供して再統合を支援す
る必要と政府の責任については、ひとことも触れられていない。ほん
とうに他のNGOはこの修正案を評価しているんだろうか。今からでも被
害者保護を強力にプッシュできないのか。

 論点は何が人身売買の根本原因かということだという説明だけ聞い
て、今までじっくりと中身を考えていなかったことを深く後悔しなが
ら、相談できそうな誰かを急いで探し回る。だが誰にきいても、人身
売買コーカスのメンバーがどこにいるのかわからない。

 そうするうち日本NGOミーティングの時間。NGOとして政府代表団に
入っている房野さんは、到着するなり、これが政府にインプットでき
る最後の機会だと告げられる。しかたないので他の決議に関してはAP
コーカスなどで得た情報を伝え、人身売買については、ぜひ被害者の
保護とリハビリを押してほしいとお願いしたが、日本政府がこれを支
持する可能性はほとんどないでしょう、と言われる。まあ実際にやっ
ていることを考えればそうだろう。やはりNGOのキーメンバーと話すし
かなさそうだ。小泉発言に関する日本NGOの申入れ文書のほうは、午前
中のうちに直接、政府代表の目黒さんにお渡しした。

 走り回っているあいだに、今日の本会議のセッションで発言する機
会を与えられたNGOのリストが目に入った。午後4:30からのセッショ
ン、3番目に、私が代表する平和コーカスが入っている。予定は明日だ
ったはずなのに……実は決議文を読み上げる大役を私が仰せつかって
いるのだ。国連事務局へのつなぎを担当してくれているジャニスの姿
が見当たらず確認できないが、どうもとつぜん順番が変わったらし
い。これでいろんな予定が狂ってしまった。コーカスのメンバーにジ
ャニスと連絡をとってもらうよう頼み、私のほうは、午後2時からミー
ティングを予定していたNGOに電話を入れて明日に伸ばしてもらう。

 廊下で通りかかった、アジア太平洋コーカスで人身売買をフォロー
しているラフィをつかまえる。あの人身売買決議案はすごく問題だと
思う、というと、ようやく人身売買コーカスのメンバーがミーティン
グしている場所につれていってくれた。右派の妨害を恐れてこっそり
ミーティングしているのだというが、これではほかのNGOも参加できな
いではないか。チームのメンバーに、防止だけに重点をおいた決議案
ではまずい、被害者保護やリハビリ支援の必要と政府責任について強
調しなくては、といったとたんに、相手の顔がかたくなる。私たちは
その言葉は嫌いね。彼女たちにリハビリテーションは必要ない。一瞬
なにを言われたかわからない。どうやら私は言ってはいけない言葉を
言ったらしい。「リハビリテーション」という言葉を、彼女たちは
「回復」よりも「更正」という意味合いで理解しているようだった。
それは相手を子どもや犯罪者みたいに扱う言葉でしょう、という。

 あなたがリハビリという言葉を嫌いなら別の言葉でもかまわない。
でも日本政府がやっていることは、被害者をまさに犯罪者扱いして国
外追放し、よけいに彼女たちの状況を悪くしているだけ。被害者がふ
たたびブローカーの手に落ちないように支援する必要のことを私は言
っているんだから、リハビリという言葉が気に入らないなら別の言葉
を提案してよ。そう言っても、相手の態度は変わらなかった。

 私たちはもうこのことについては議論しないことに決めたの。そん
なに気になるんだったら、ヨーロッパやブラジル政府も同じことを言
ってるから、心配する必要ないんじゃないの。それで話は終わりだっ
た。アメリカがこの人身売買決議案を出してきた背景に、売春をモラ
ルの問題として否定しようとするキリスト教右派の動機があるのはま
ちがいない。

 それに対する立場はいろいろありうるだろうが、この決議案は売買
春ではなく人身売買がテーマだ。宗教右派に対して過剰に防衛的にな
っているのだろうか、サバイバーの被害回復がまったく視野に入って
いないし、他のNGOに対して排他的な態度をとっていることに、ほんと
に失望させられた。

 4時半、本会議が始まる。通常は2階の入り口からNGOに割りあてらた
席で傍聴するが、今日はスピーカーとしてバルコニー席で待機する。
平和コーカスのメンバーが後ろの席に応援に来てくれた。国連事務局
の人が来て、持ち時間は2分になったと告げられる。私たちの声明は明
らかに長すぎる。その場で他のメンバーと相談して3分の2に削るが、
それでもかなりの早口で読み上げなければならない。順番は意外に早
くまわってきた。

 もっと緊張するかと思っていたけど、自分の主張を相手に伝えるた
めのスピーチと違って、たんに原稿を読み上げるだけなので、どうと
いうこともなかった。ちょっとつっかえたが、まあ無事に役目を果た
したと思う。5時前に会議場を抜けてリンケージコーカスに参加するこ
とができた。

 友人たちはねぎらってくれたが、正直な気持ちを書けば、100%
自分の言葉ではないものを読み上げるのはあまり気がすすまなかった
し、この先につながるような活動であったとも思えない。こんなこと
で多くの時間を割くくらいなら、人身売買について、もっと早くから
状況を理解してフォローしておけばよかった。その意味では、リンケ
ージコーカスも、その後のワークショップも非常に実り多い議論だっ
たが、もう長くなったのでこれは次の回で。

もとやま

北京+10報告

3月8日 吹雪の国際女性デー/差別的法について

 国際女性デーを記念して、10時から12時まで本会議は休み、特別パ
ネルが開かれた。毎日9時から開かれるNGOブリーフィングも今日はな
く、いつもより少しのんびりした雨の朝。ところが雨はやがて雪に変
わり、みるみる吹雪に…昨日の春日和が嘘みたい。NGOは予定通りに雪
の中でマーチを行ったが、さすがに参加者は少なかった。

 10時からのパネルはずいぶんおもしろかったと評判だったが、私は
台湾のグループが開催した「武力紛争防止とジェンダー視点」のパネ
ルによばれていたので、残念ながら聞けなかった。パネルではラテン
アメリカで長く活動したアムネスティの女性や、国連改革にジェンダ
ー視点を反映させるため活動しているNGOと同席、期待していたよりお
もしろかった。「女性の政治家ももっと安全保障政策や軍事に関わる
べき」という台湾のパネリストとは、もう少し議論したいところだっ
たが。

 さて本会議の方では、加盟国の合意あるいは投票によって金曜日に
採択されることになる決議10本が出そろった:
 ①HIV/AIDS
 ②人身売買
 ③女性差別的な法に関する特別報告官
 ④ジェンダー主流化
 ⑤津波
 ⑥パレスチナ女性の状況
 ⑦INSTRAWの強化
 ⑧経済と女性
 ⑨アフガニスタン女性
 ⑩先住民。

 このうちNGOはアメリカが提案している2本をもっとも問題視してい
るが、政府間交渉は扉の向こう側で行われており、各国がどのような
態度をとっているのか、どのような修正案があがっているのか、うわ
さは流れるが正確な情報がつかめない。キーパーソンの姿を探しまわ
って情報をあつめているが、今日は情報交換の時間がなかったことも
あり、NGOの戦略を練るテーマ別コーカスがいつどこで開かれているの
かもわからない。今日のところは、明日の朝開かれるNGOミーティング
を待つしかなさそうだ。

 ここで、決議案③について関心をもたれる方が多いかと思うので、
少し詳しく書いてみる。レポートの③で渡辺さんが書いているよう
に、この会議が始まってまもないころ、Equality Nowが開催した会議
で、メリル・ストリープが日本の再婚禁止期間について触れたことが
注目された。北京行動綱領では、女性差別的な法や慣習を撤廃し、法
の下の平等を保障するよう政府にもとめたが、ENのレポートが具体的
に指摘したように、10年経っても、多くの国で約束は果たされていな
い(なおENのレポートでは、女性だけに適用される再婚禁止期間のほ
か、婚姻可能な年齢を男性18歳、女性16歳としていることも、日本国
憲法における法の下の平等に反する女性差別的法として指摘されてい
る。詳細はwww.equalitynow.org)。この決議はその状況を変えるた
めに、国連特別報告官special rapporteurの設置を提案するもので、
フィリピン政府とルワンダ政府が提案国になっている。以下に、提出
された決議文案の最後のところだけを仮に訳しておく。

1:北京行動綱領に沿い、国家・地域・国際レベルにおいて、あらゆ
る適切な手段や方法を用いて、性に関するバイアスに基づいて差別す
る法を撤廃し、司法の執行におけるジェンダーバイアスを取り除くた
めの努力を強化するよう諸国の政府にうながす (Urges Governments
to intensify their efforts to revoke any remaining laws
that discriminate on the basis of sex and to remove gender
bias in the administration of justice, in accordance with
the Beijing Platform for Action through the adoption of all
appropriate means and measures at the national, regional
and international levels)。

2:第50回会議において、女性に対する差別的な法に関する特別報告
官の任命のいかんについて検討することを決める(Decides to
consider at its fiftieth session the advisability of the
appointment of a special Rapporteur on laws that
discriminate women)。

 今のところ、この提案に反対意見は聞かない。ぜひ実現させたい提
案だが、やっぱりその前に、婚外子差別や夫婦別姓を含め、差別的法
律はすすんで改正させたい。

本山央子
北京+10報告

3月7日
二枚舌の日本政府に行動綱領の遵守を求める

 週末は会議も休みなので、本会議以外に出たワークショップなどの
感想をゆっくり書こうかと思っていたのだけど、やっぱり無理だっ
た。ひとつには土曜日にメトロポリタン美術館とレストランでゆっく
りしすぎたため、もうひとつの理由は、わざわざこの会議が開かれて
いる時を選んでジェンダー平等教育・性教育攻撃をした山谷えり子議
員と小泉首相のせいだ。

 先週のレポートにも書いたように、西銘政務官はスピーチではまっ
たく北京行動綱領に触れなかったが、「国連に提出した原稿の方には
ちゃんと「さらに実行していく」という言葉が入っているので、北京
行動綱領を実行していくのが日本政府の立場だ」というのが政府代表
団の説明だった。さてその同じ日に、日本政府の最高責任者である首
相がそれを正面から否定する発言をしていたというわけ。これでフェ
ミニストとして何もしないんだったら、NYにただ観光にきたのと同じ
ことだ。すぐに日本政府とNYの政府代表部に抗議の手紙を出そうと決
める。リプロは私の守備範囲じゃないが、時差のことを考えるとこち
らで文案を作るしかないし……。そういえばリプロ関係にくわしいHさ
んがこちらに来ていた。その場で携帯で連絡をとり、パソコンをもっ
てホテルの部屋へおしかける。1時間半で草案を書き上げ、その足で
AWID(www.awid.org)とのインタビューへ。AWIDは、私がもっとも注
目している国際的フェミニスト・フォーラムのひとつだ。日本の憲法
24条問題に関心をもってくれて、サイトにも掲載してもらえそう。よ
かった!

 次の予定は、EUにおける女性の活動に対する資金の流れについて調
査を行ったヨーロッパのNGOとのミーティング。かれらの調査を参考
に、日本でも同じ分析枠組みをつかって調査ができるかもと思ってい
る。そのためにくわしい話を聞く予定だったのだが、ホームパーティ
の場ではちょっと難しかったかも。そこからヴィレッジで開かれた
AWIDのパーティに流れ込んで、週末は終わり。

 月曜日、本会議が再開。しかし今日はゆっくり会議の内容をフォロ
ーする時間はぜんぜんなかった。NGOは国連会議に介入するための情報
交換と戦略のためにいくつものコーカスをつくって、期間中、ほぼ毎
日ミーティングを行っている。このなかには、日本も含まれるアジア
太平洋コーカスなどの地域コーカスと、テーマ別のコーカスとがある
が、私は今回、平和コーカスに参加してNGO声明文の作成に関わること
になった。ディスカッションを通して草案をつくり、さらに修正をく
わえ、プリントアウト、コピーして国連事務局へ渡す。自分のオフィ
スがないところでは、けっこうめんどうな作業だ。

 そうこうしているうちに、今週から始まった日本NGOのミーティング
が始まる。政府が説明を行うブリーフィングではないということを念
押しされたが、せっかくNGOの情報交換の場ができたのだから有効に使
っていこう。今週討議される予定の決議文としては、アメリカが提案
している女性と経済に関するものと、人身売買に関するものの2本、そ
れにジェンダー主流化に関するものの3本がすでに各国政府にまわって
いるが、そのほかにも津波、武力紛争、先住民、パレスチナ、平和な
どに関する決議案が提出されるとの情報もある。日本のNGOとしてでき
ることは、とくに問題の大きいアメリカ提出案2本について、全体の
NGOコーカスの戦略と歩調を合わせて日本政府にNGOの意見を伝える
ことだ。まずは情報収集の必要あり。

 ここで、山谷・小泉発言に関連して、NGOとして政府に要請書を出す
ことを提案、承認。有志で文案を練り直す。それが終わったらふたた
び平和コーカスでNGO宣言文の最終確認。そしてリンケージコーカス
へ。6時半にようやく一連のミーティングが終わったところで、お昼を
食べ損ねたことに気がついた。

 そのあとに出た夜のワークショップも面白い内容だったが、明日は
朝から「軍事化におけるジェンダー視点」のパネルで話さなくてはな
らないので、もう寝なくては。今回はあまり会議レポーターの役割を
果たしていないが、日本政府に対する要請レター作成にがんばったと
いうことで、お許しいただきたい。

要請文へのご賛同は、ajwrc@ajwrc.orgまで。
要請文の詳細は「NYより-北京+10報告-」の⑦を参照。

本山
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