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フェミニスト法学者マッキノンの理論をまとめた上下巻本を寄贈していただきました!

女の生、男の法(上)女の生、男の法(上)
(2011/08/27)
キャサリン・マッキノン

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 日本でも高名なアメリカのフェミニスト法学者マッキノンの新訳である。
 訳者が「初の本格的な論文集」としているように、これまではセクシュアル・ハラスメントやポルノグラフィなど具体的個別的なテーマについて紹介されることが多かったが、今回はテーマが多岐にわたっている。第1部の法学的議論に続いて、売買春、性暴力、女性に対する暴力と広げ、第2部ではさらに広いテーマを論じている。とくに、第8章「実践から理論へ」では「複数のフェミニズム」が台頭する近年のフェミニズムの状況に対してマッキノンのスタンスが示されている。概してマッキノン的立場は女性間の差異を軽視するものとして整理されかねないが、これを読めば必ずしもそうでないということが読み取れる。第9章「批判的人種理論とフェミニズム」では批判的人種理論内部のフェミニズムへの誤解を検討し、人種と性別の危うい関係性について解き明かそうとしている。他にフーコーを論じている章もある。第1部では「女性に対する暴力防止法(VAWA)」が取り上げられ、日本の女性運動にとって示唆的であることを付け加えておきたい。
 ただし評者の個人的関心から補足すれば、第5章でマッキノンの売買春についての見解が展開されているが、これについては、マッキノンが主張する自らの「女性の現実から出発する」姿勢と矛盾しているように思った。売買春を奴隷制として否定することが現実の女性たちにどのような影響をもたらすのか、より慎重に検討した方がいいだろう。
 とはいえマッキノンについて思想的に検討するテキストが翻訳されたことは日本のフェミニズムにとって大きな意味を持っている。多くのひとに読んでほしい。(菊地夏野)
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